演奏会情報
愛知県医師会交響楽団 第42回定期演奏会
演奏会は盛会に終えることができました。ありがとうございました。
2026年1月25日(日)開場14時15分/開演15時
愛知県芸術劇場コンサートホール
全自由席 1500円
指 揮: 古谷 誠一
曲 目: ウェーバー 歌 劇「オイリアンテ」序曲
モーツァルト 交響曲第40番 ト短調 K.550
ブラームス 交響曲第2番 ニ長調 作品73
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演奏会プログラムより
カール・マリア・フォン・ウェーバー 歌劇《オイリアンテ》序曲
ウェーバー(1786-1826)のオペラ「Euryanthe」の序曲。初演は1823年10月25日、ウイーンの歌劇場「Theater am Karntnertor」でしたが、3幕約3時間の長編ながら台本の練り上げが足らないこともあって不評に終わったとされます。その後も改定が幾度となく行われましたが、いまでは序曲が演奏される程度になっています。中世フランスを舞台にした貴族とその妻や女官、さらには亡霊となった義妹(の身につけていた指輪)や果ては大蛇(!)が複雑に絡んだ愛憎劇で、最後は国王ルートヴィヒ六世が事を収め、ハッピーエンドで終わるという筋書きです。ちなみに、フェルマータ後のティンパニのソロは王の到着を知らせる合図を模していると言われています。
ドイツ語の歌劇「魔弾の射手」(1821年初演;於ベルリン)が有名なウェーバーは、1817年からドレスデンの宮廷劇場の音楽監督となり、死去するまでドイツオペラを指揮しました。1826年、ロンドンの歌劇場から依頼された歌劇「オベロン」の初演のため渡英しましたが、その後ロンドンで肺結核のため死去しました。結核はコッホによる結核菌の発見が1882年であり、治療薬としての抗生物質の発見は20世紀半ばまで待つしかありませんでした。現代に至るも日本では毎年2万人程度が発症、2千人前後が死亡しており、決して過去の感染症ではありません。監察医活動でも簡易宿泊所生活者などに多く見られ、注意が必要です。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 交響曲 第40番 ト短調 K.550
モーツァルト(1756-1791)の「後期三部作(いずれも1788年)」の一つで、彼の交響曲の二つのト短調(G-moll)の一つでもあります(もう一つは25番で、東海地方の方々には某宝飾店のCM曲で有名)。ケッヘルによる目録番号Kは550です。彼の短調の交響曲自体がこれら二つしかないのにも注目しましょう。初演は不明です。曲の主調であるト短調からみた第2楽章の変ホ長調は、楽典の教科書には「下属調平行調」であると書いてあります。下属調は主調(G)の下属音(C)を主音とするハ短調になります。楽譜の調号では♭が一つ増えます。かつ平行調ですから同じ調号の長調は変ホ長調です。
楽器編成は、トランペットとティンパニがありません(フルートは1)が、初稿ではクラリネットもありませんでした。次作の41番(K.551)では逆にクラリネットがなく、トランペット2とティンパニが使われています。ちなみに前作39番(K.543)では、クラリネットはありますがオーボエがないというモーツァルトにしては珍しい編成です。
第1楽章 ト短調 2/2拍子 ソナタ形式
第2楽章 変ホ長調 6/8拍子ソナタ形式
第3楽章 ト短調 3/4拍子 複合三部形式
第4楽章 ト短調 2/2拍子 ソナタ形式
モーツァルトは1795年12月5日、自宅のあるウイーンで35歳の生涯を閉じましたが、死因については諸説あり、病死なのか薬物中毒死(毒を盛られたのであれば他殺)なのか、はたまた精神疾患を併発していたのかなど議論は尽きません。既往歴も多く、腸チフス、天然痘、上気道炎を含む肺炎、リウマチなどが言われています。しかし当時の技術での検案は難しく、解剖が可能であっても責任薬毒物の特定は困難でしょう。他にも死因の候補として、細菌感染症による糸球体腎炎、医療過誤や硬膜外血腫(外因死を示唆する)などもあげられており、中には病気の不安に対して処方されたアンチモン(Sb)を含む薬物による中毒死なども疑われていて、現在でも様々な検討がなされています。
ヨハネス・ブラームス 交響曲 第2番 ニ長調 作品73
ブラームス(1833−1897)の四つの交響曲の第二曲で、1877年の6月から9月にかけて作られました。第1番が1876年の完成まで21年を要したのとは対照的ですね。ベートーヴェンの影響を強く受けた第1番が「ベートーヴェンの第10番」と言われるのに対し、この第2番はそののびのびとした明るさから逆に「ブラームスの『田園』」と言われることもあります。初演は1877年12月30日、ウイーンで行われました。楽器編成としてはチューバが四つの交響曲で唯一用いられています。
第1楽章 ニ長調 3/4拍子 ソナタ形式
第2楽章 ロ長調 4/4拍子 ソナタ形式
第3楽章 ト長調 3/4拍子 ABABA形式(Bの一度目は2/4拍子、二度目は3/8拍子)
第4楽章 ニ長調 2/2拍子 ソナタ形式
弦楽器にとってニ長調(D-dur)は響きが最もよく、演奏もしやすいとされ、特にヴァイオリンは倍音の響きが豊かになるため(和声的には主音(D)、属音(A)、下属音(G)がいずれも開放弦となることによる)、明るい音楽になると言われます。ベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はいずれもニ長調であるのも偶然ではないでしょう。
トランペットはD管を用いると管長が比較的短いので抵抗が少なくなり、軽く明るい音色になるとされます。同様にティンパニも主音Dと属音Aのチューニングは響きが明るくて良いと言われます。オーボエのAを基準に行う演奏前の音合わせもスムーズです。
当団は過去にブラームスの交響曲を最も多く(計11回)取り上げており、今回は12回目ですが、四曲のうち第2番が最多となります。
第1番-3回 87年(第5回)、07年(第25回)、18年(第36回)
第2番-4回 85年(第3回)、97年(第15回)、15年(第33回)、26年(今回)
第3番-2回 95年(第13回)、11年(第29回)
第4番-3回 92年(第10回)、02年(第20回)、19年(第38回)
50代後半から作曲の意欲が衰えて来たブラームスでしたが、それでもなんとか小品の傑作を世に送り出していました。しかし前年に愛するクララ・シューマンが亡くなったのち体調が悪化し、1897年4月6日、63歳でウイーンにおいて死去しました。その死因は肝臓がんとされています。本邦での原発性肝臓がんの多くは肝細胞がんで、C型肝炎からの肝硬変ががんに進むという場合が多いので、肝炎ウイルスが体内に無い状態にするために様々な試みがなされてきました。近年では内服薬での陰性化率が著しく向上しています。病死の確定診断のためには解剖(法医学者というより病理学者の仕事になりますが)が推奨されます。
さて、フランソワーズ・サガンの小説「ブラームスはお好き」(1959)では、主人公の女性をコンサートに誘う若い青年の言葉「Aimez-vous Brahms?」が題名になっていますが、1961年に「さよならをもう一度」として映画化された際に用いられたのは交響曲第3番の第3楽章でした。
ブラームスはお好きですか?
(ティンパニ:小山 宏義)
演奏会アンケート(第41回演奏会)
【はじめに】
いつも愛知県医師会交響楽団の活動をご支援いただき、誠にありがとうございます。
前回の第41回定期演奏会では 1,270 名もの皆様にご来場いただき、そのうち 338 名の方々よりアンケートをお寄せいただきました(回収率 26.6%)。一般的な演奏会では10〜15%程度が標準的とされる中、今回の数字はきわめて高く、私たちの演奏会へ向けていただいた温かな関心と応援のお気持ちを、改めて深く感じる結果となりました。
多くの方々が時間を割いて丁寧に寄せてくださったお声は、私たちにとって大きな励ましになるとともに、次回の演奏会に繋がる原動力になります。寄せられた皆様からのお声に何らかの形でお応えしたいという思いから、このたび皆様のお声の一部をご紹介させていただくことにいたしました。
1.来場回数
初めて…… 53.9%
2〜5回…… 33.4%
6回以上…… 12.7%
初めてご来場くださった方が半数以上を占めていますが、2回以上のご来場の方も半数近くおられ、幅広い層に支えられている演奏会であることがわかります。「いつも楽しみにしています」のお言葉をいただき、とても嬉しい気持ちでいっぱいです。
2.演奏会を知ったきっかけ
医師会関係者からの情報…… 46.4%
友人・知人から…… 32.5%
チラシ・ポスター…… 14.8%
その他(Web 等)…… 6.3%
医師会関係の口コミが非常に強いという特徴が見てとれます。
3.プログラムについて
*ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番《皇帝》
とてもよかった+よかった…… 92.5%
*チャイコフスキー 交響曲第5番
とてもよかった+よかった…… 84.0%
どちらの作品も高い評価をいただきましたが、特に前評判にたがわず、「皇帝」への反響の高さが際立ちました。
❖曲別のコメント
*ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番《皇帝》
医学部在学中にショパン国際ピアノコンクールの二次予選に進出し、現在は現役の医師として勤務しておられる沢田蒼梧さんの演奏に、多くの反響が寄せられました。
「素晴らしかった」「最高でした」「惹き込まれた」「安定したタッチが印象的」「力強さと美しさを兼ね備えていた」「CDとは全くちがう迫力に感動した」「キラキラした音色が素敵だった」などのお声が寄せられ、作品の魅力が豊かに伝わったと思います。
*ソリスト アンコール:ショパン ポロネーズ 変イ長調 作品53《英雄》
「圧倒された」「忘れられない」「会場の空気が変わった」「鳥肌が立った」など、鮮烈な印象を抱かれた方が多く、大変ご好評をいただきました。約7分という大サービスのアンコールでしたが、コンサート後ご本人曰く「弾き慣れている曲なので大丈夫でした」と笑っておられました。さすがです。
*チャイコフスキー 交響曲第5番
「4楽章の盛り上がりがよかった」「2楽章が美しかった」「木管楽器が自然で美しかった」「金管楽器の響きに迫力があった」「弦楽器がよかった」「メリハリがあり、まとまりがあった」「全てのパートのソロが素敵だった」といったお声の他、ホルン(6名)・トランペット(4名)・チェロ(5名)・クラリネット・フルート・ヴィオラなど、特定のパートへのお褒めの言葉もいただきました。
全体的にはオーケストラを好意的に評価してくださるお声が多かった一方で、「金管楽器がもっと頑張ってほしい(3名)」「演奏に雑さを感じることがあった」「もっと指揮者を見て演奏すべき」といったご指摘もいただきました。
*オーケストラ アンコール:モーツァルト《アヴェ・ヴェルム・コルプス》
「とても美しかった」「感動した」「心が洗われた」など、思いがけず多くのご感想をいただきました。温かな拍手に私たちに練習の時以上の高揚感が生まれ、まさに「聴衆との対話」がそのまま音になった演奏だったと思います。メロディーを口ずさみながら登場した指揮者の楽しい雰囲気に導かれて、客席と舞台がひとつに溶け合う演奏になったと思います。
❖自由記述より
*全体的なご意見
「生演奏で元気をもらえた」「お忙しい中での練習の成果、レベルの高さに驚きました」「医療従事者の方々がこんなにも素晴らしい演奏を聞かせてくださるとは感謝の一言です」など演奏への評価を多くいただきました。それ以外にも「素敵な時間を過ごせました」「来てよかった」「いい一日になりました」など、会場で過ごした時間に価値を見出してくださっていた方が多くおられた印象でした。
*演奏について
「弦楽器のまとまりがよい」「木管楽器の自然な歌い回しがよい」「金管楽器の響きがよい」「指揮との一体感が伝わった」といった評価が寄せられ、温かいご感想を多くいただいた一方で、いくつか貴重なご意見もいただきました。「金管楽器の響きが揃うとさらに厚みが増すと感じた」「細かな部分まで丁寧に仕上げてほしい」「音のバランスを大切にしてほしい」などのお言葉をいただきました。
❖会場や運営等その他
「会場がよかった(8名)」「これからもこのホールで開催してほしい」というお声を多くいただきました(実は、コンサートホールの確保は前年の同月に一度だけ行われる抽選会に挑むしか方法はなく、そのたった一回の結果に、オーケストラの命運がかかっていると言っても決して過言ではありません。この「運命の抽選」に臨む会場係には毎回胃が縮むほどの重いプレッシャーがのしかかっており、個人的には申し訳なさと感謝の思いで頭が上がらない気持ちです。それでもやはり心の中では「どうかこれからも未来永劫当たりくじを…!」と祈らずにはいられません)。
ご意見としては、「会場内のマナーを徹底してほしい」「当日券の発売まで30分以上待たされたので発売の決定を早めてほしい」「出演者の座席表を作ってほしい」というお声をいただきました。可能な限り改善したいと思います。
また、曲目解説には思いがけず多くの反響をいただきました。「チャイコフスキーの死因の解説が面白かった」「ドクターならではの切り口に笑ってしまった」といったお声など、特にドクターKによる解説には多くのご感想が寄せられました。そのご好評を受け、今回は全曲目の解説をドクターKに担当してもらいました。お楽しみいただけましたら幸いです。
❖作曲家・曲のリクエスト
多く寄せられた作曲家は以下のとおりでした。
ベートーヴェン(最も多くご希望をいただいたのは第6番《田園》、続いて第7番、第5番《運命》と続きました)
ドヴォルザーク(最も多くご希望をいただいたのは第9番「新世界より」でした)
ラフマニノフ(特にピアノ協奏曲第2番)
モーツァルト
チャイコフスキー
マーラー
その他、映画音楽やラヴェル《ボレロ》、ガーシュイン《ラプソディ・イン・ブルー》など、幅広いリクエストをいただきました。
【おわりに】
多くのご感想をお寄せいただき、改めまして心より御礼申し上げます。
「来てよかった」「よい時間を過ごせた」といったお言葉の一つ一つは、私たちにとって大きな励ましであり、貴重な休日の時間を割いてわざわざお越しくださった方々が、少しでも幸せな気持ちでホールを後にしてくださったならば、これに勝る喜びはありません。今後も、多くの方に喜んでいただける演奏会を目指して誠実に音楽づくりに励んでまいります。
なお、いただきましたアンケートは、本番後の打ち上げの席上で総数と回収率が報告され、ほとんどの団員がその場で目を通しております。温かいお言葉は励みとして胸に刻み、改善へのご意見は次の一歩を考える指針として、一人一人が真摯に受け止めております。
さらに後日、アンケート係がすべての回答を一枚ずつ丁寧に確認し、自由記述も含めて集計した上で、定期演奏会の反省会や技術委員会・企画委員会において、次回の選曲や運営を検討する際の大切な資料として活用されております。
私たちは、「演奏会は聴衆との対話」と考えております。客席から寄せられる眼差しや拍手、そしてアンケートに託していただいたお声が、次の演奏会へと繋がる原動力となっています。お手数とは存じますが、今後ともアンケートにご協力いただけましたら幸いに存じます。
引き続き、変わらぬご支援を心よりお願い申し上げます。
(ヴァイオリン:白石 慶子)
